あの日、運転中に違和感を覚えました。右側からの車が突然視界に飛び込んでくるような…。「単なる疲れだろう」と思い、数ヶ月が過ぎました。

定期健診で眼科を受診したところ、医師の表情が急に険しくなりました。「眼圧が高いですね。視野検査をしましょう」。その検査結果を見た医師の言葉は衝撃的でした。「緑内障の初期段階です」

緑内障—聞いたことはあっても、自分がなるとは思ってもいませんでした。「失った視野は戻らない」という医師の言葉が頭に響きました。

治療が始まり、毎日の点眼薬が日課となりました。初めは忘れることも多く、「今日一日くらい」と甘い考えが頭をよぎることもありましたが、視野検査で欠けた部分のグラフを見るたびに、薬の大切さを痛感しました。

漢方薬も併用することになりました。西洋医学の点眼薬で眼圧をコントロールしながら、体質改善のために漢方医学のアプローチも取り入れたのです。

漢方の専門医に相談すると、私の場合は「肝腎陰虚」という状態で、目の栄養が不足していると診断されました。処方された漢方薬は苦くて最初は飲むのが大変でしたが、徐々に体が楽になっていくのを感じました。

緑内障と診断されてから、生活習慣も見直しました。長時間のデスクワークには必ず休憩を入れ、目を休める時間を作ります。適度な運動も心がけ、特にウォーキングは眼圧を下げる効果があると知り、日課にしています。

食生活では、抗酸化物質が豊富な緑黄色野菜や、血流を改善する食材を意識的に摂るようになりました。お酒も控えめにし、十分な睡眠をとることも大切にしています。

定期的な通院は欠かしません。3ヶ月ごとの視野検査は毎回緊張しますが、進行していないことが確認できると安心します。眼科医からは「早期発見できたのが幸いでした」と言われています。

緑内障は「沈黙の視力泥棒」とも呼ばれます。自覚症状がないまま少しずつ視野が欠けていくからです。私のように運転中の違和感がきっかけで見つかるケースもありますが、多くの場合は定期検査で偶然発見されます。

今では、緑内障と上手に付き合う方法を見つけました。病気を恐れるのではなく、管理すべき体の一部として受け入れています。視野が欠ける恐怖はありますが、それよりも今ある視力を大切にする気持ちの方が強くなりました。

40歳を過ぎたら、症状がなくても定期的に眼科検診を受けることをお勧めします。早期発見が何より大切だと、私の体験から強く感じています。