緑内障は、視神経の障害により徐々に視野が失われていく眼の病気です。日本では40歳以上の約5%がかかっているとされ、失明原因の上位を占める深刻な疾患です。現代医学での治療が基本となりますが、東洋医学の知恵を取り入れた生活習慣の改善も症状の緩和や進行予防に役立つと考えられています。

東洋医学では、目の健康は肝と腎の機能と密接に関わっているとされています。特に「肝は目に開竅する」という考え方があり、肝の働きが目の健康に大きく影響すると考えられてきました。緑内障の患者さんには、肝の機能を整え、目の血流を改善する工夫が効果的です。

まず食生活では、緑黄色野菜や果物を積極的に摂ることをお勧めします。ブルーベリーやほうれん草に含まれるアントシアニンやルテインは目の健康維持に役立ちます。また、肝機能をサポートするゴボウやレンコン、目の疲れを和らげる菊花茶なども良いでしょう。

適度な運動も重要です。ウォーキングや太極拳などの穏やかな運動は、血流を促進し眼圧のコントロールに役立ちます。ただし、逆立ちなど頭に血が集まるようなポーズや激しい運動は避けた方が無難です。

目の周りのツボを優しくマッサージするのも効果的です。特に「攢竹（さんちく）」や「瞳子髎（どうしりょう）」などのツボは、目の疲れを和らげ血流を改善するとされています。指の腹で優しく押すだけでも、目の周りの緊張がほぐれるでしょう。

また、湯船にゆっくりつかる習慣も全身の血行を促進し、目の健康にも良い影響を与えます。ただし、熱すぎるお湯は避け、ぬるめのお湯に15分程度つかるのがおすすめです。

睡眠の質を高めることも大切です。東洋医学では、夜10時から午前2時は肝が最も活発に働く時間帯と考えられています。この時間帯にはしっかり睡眠を取り、肝の回復を助けましょう。

ストレス管理も目の健康に影響します。東洋医学では、過度のストレスは「肝の気」を乱すと考えられています。瞑想や深呼吸などのリラクゼーション法を取り入れ、心の平静を保つことも緑内障対策として役立つでしょう。

これらの東洋医学の知恵は、あくまでも西洋医学による適切な治療を補完するものです。緑内障の診断を受けた方は、必ず眼科医の指示に従い、定期的な検査と治療を継続することが最も重要です。東洋の知恵を取り入れながら、目の健康を守る生活習慣を築いていきましょう。