パソコンやスマートフォンを長時間使用する現代のデジタルライフ。画面を見つめていると、突然視界に小さな虫や糸くずのような浮遊物が見えることはありませんか？これが「飛蚊症」と呼ばれる症状です。多くの方が経験するこの現象について、その原因や関連する眼病、対処法についてご説明します。

飛蚊症とは、目の前に虫が飛んでいるように見える症状です。実際には目の内部にある硝子体というゼリー状の物質が加齢や近視などにより変性し、その影が網膜に映ることで起こります。多くの場合は生理的な現象で、特に心配する必要はありません。しかし、急に飛蚊症が増えたり、光が見えたりする場合は注意が必要です。

特に注意すべきは、飛蚊症が網膜剥離の前兆である可能性です。網膜剥離は早期治療が重要で、放置すると失明の危険もある深刻な眼病です。飛蚊症に加えて、視界の一部に暗い影ができる、光が見える、視野が欠けるなどの症状がある場合は、網膜剥離の可能性があります。このような症状を感じたら、すぐに眼科を受診しましょう。

また、加齢に伴う眼の変化として、加齢黄斑変性症も飛蚊症に関連することがあります。これは網膜の中心部である黄斑部に異常が生じる疾患で、視力低下を引き起こします。早期発見・早期治療が重要なので、定期的な眼科検診をお勧めします。

デジタルデバイスの長時間使用は眼精疲労を引き起こし、これが飛蚊症を自覚しやすくする要因となります。画面を見続けることで目が乾燥し、疲れやすくなるのです。適切な休憩と目の保護が大切です。

飛蚊症対策としては、まず適切な生活習慣が重要です。デジタル機器の使用時間を制限し、1時間に5～10分程度は目を休める時間を作りましょう。また、ブルーライトカットメガネの使用や、画面の明るさ調整も効果的です。

食生活では、ビタミンA、C、Eなどの抗酸化物質を多く含む食品を摂ることで、目の健康をサポートできます。緑黄色野菜や果物、魚などをバランスよく食べることが大切です。漢方の世界では、目の疲れに効果的とされる生薬もあります。

定期的な眼科検診も忘れずに行いましょう。特に40代以降は、緑内障や白内障などのリスクも高まるため、年に一度は眼科を受診することをお勧めします。

飛蚊症は多くの場合、生命に関わる重大な問題ではありませんが、時に深刻な眼病のサインとなることもあります。自分の目の変化に敏感になり、気になる症状があればためらわずに専門家に相談することが、目の健康を守る第一歩です。デジタル時代だからこそ、私たちの大切な目を守る知識を身につけておきましょう。