緑内障は目の視神経が徐々に損傷される進行性の眼疾患で、早期発見と適切な治療が重要です。日本では40歳以上の約5%がこの疾患を抱えているといわれています。緑内障の主な原因は眼圧の上昇ですが、眼圧が正常範囲でも発症するケースがあり、複合的な要因が関わっています。

最近の眼科医療では、緑内障の治療において西洋医学と東洋医学を組み合わせたアプローチが注目されています。西洋医学では点眼薬による眼圧コントロール、レーザー治療、手術などが主流ですが、これらと並行して漢方薬や生活習慣の改善が補完的役割を果たすことがあります。

漢方医学では緑内障を「肝」や「腎」の機能低下と関連づけて考えます。特に、血流改善や神経保護作用が期待できる漢方処方が注目されています。例えば、当帰芍薬散や釣藤散などは血流改善効果があるとされており、視神経への栄養供給をサポートする可能性があります。

また、日常生活における工夫も重要です。バランスの取れた食事、特に抗酸化物質を多く含む緑黄色野菜や青魚の摂取は視神経の保護に役立つとされています。適度な運動も血流を改善し、全身状態を整えるのに有効です。特にウォーキングやヨガなどの低強度の運動が推奨されています。

さらに、デジタル機器の使用時間を制限し、目に休息を与えることも大切です。長時間の近距離作業は眼精疲労を引き起こし、緑内障の症状を悪化させる可能性があります。20分おきに20秒間、20フィート（約6メートル）先を見る「20-20-20ルール」を実践することで、目の疲れを軽減できます。

最新の研究では、緑内障患者のストレスマネジメントも重要視されています。慢性的なストレスは交感神経を刺激し、眼圧上昇につながる可能性があります。瞑想や深呼吸などのリラクゼーション法を日常に取り入れることで、ストレスレベルを下げる効果が期待できます。

定期的な眼科検診も欠かせません。緑内障は初期段階では自覚症状がほとんどなく、視野の欠損が広がるまで気づかないことが多いためです。40歳を過ぎたら年に一度の眼科検診を習慣にしましょう。

緑内障は完治が難しい病気ですが、早期発見と適切な治療、そして東西医学を融合させたアプローチによって、視力の低下を最小限に抑えることが可能です。自分の目の健康について医師とよく相談し、最適な治療法を見つけることが大切です。

日々の小さな習慣の積み重ねが、緑内障と上手に付き合っていくための鍵となるでしょう。目は一生使う大切な感覚器官です。今日からできるケアを始めてみませんか。