「目の前に小さな虫や点が飛んでいる」と感じたことはありませんか？これは飛蚊症と呼ばれる症状で、多くの方が一度は経験する眼の変化です。特に明るい場所や白い壁を見るときに顕著に現れます。

飛蚊症は、加齢や近視などが原因で硝子体というゼリー状の組織が変性し、影として見える状態です。一般的に生命に関わる深刻な症状ではないものの、突然増加した場合や閃光を伴う場合は、網膜剥離などの重篤な状態の前兆である可能性もあります。このような場合は速やかに眼科を受診しましょう。

日常的に現れる飛蚊症に対して、西洋医学では「経過観察」とされることが多いですが、東洋医学では体全体のバランスを整えるアプローチから改善を目指します。

漢方医学では目の症状は「肝」との関連が深いとされています。肝は血を蔵し、目の機能を支えると考えられており、肝の働きが弱まると目のトラブルにつながるのです。そのため、「肝の働きを整える」「血の巡りを良くする」ことが重要になります。

飛蚊症に関連する漢方薬としては、肝の働きを補い、目の症状を改善する方剤が用いられます。例えば、肝腎陰虚（かんじんいんきょ）という状態に対しては、滋養強壮効果のある薬剤が有効とされています。

また、漢方薬と併せて取り入れたい生活習慣もあります。まず、目の疲れを軽減するために、長時間のスマホやパソコン作業を避け、定期的に目を休ませましょう。特に遠くを見る時間を意識的に作ることが大切です。

食生活面では、レバーやほうれん草、ニンジンなど、ビタミンAを含む食品や、ブルーベリーに含まれるアントシアニンなど目に良いとされる栄養素を積極的に摂取するのもおすすめです。

さらに、東洋医学の考え方に基づいた「肝経」のツボ刺激も効果的です。例えば、太陽穴や目の周りのツボを優しく押すことで、目の周辺の血流を改善できます。

飛蚊症は完全に消えることは少ないですが、これらの自然療法によって症状が気にならなくなることも多いです。ただし、症状が急に悪化したときは自己判断せず、専門医に相談することをお忘れなく。

東洋医学と西洋医学、それぞれの良さを理解し、バランスよく取り入れることで、目の健康を維持していきましょう。飛蚊症という小さなサインを見逃さず、目だけでなく体全体の健康を見直す機会としてみてはいかがでしょうか。