緑内障は眼圧の上昇により視神経が障害され、進行すると視野狭窄や失明にもつながる深刻な眼疾患です。現代医学では主に点眼薬による眼圧コントロールや手術が治療の中心ですが、併せて東洋医学的なアプローチも注目されています。

緑内障に伴う痛みや不快感は、患者さんのQOLを大きく低下させる要因となります。特に急性閉塞隅角緑内障の発作時には激しい眼痛や頭痛を伴うことがあります。このような症状に対して、東洋医学では「気・血・水」のバランスを整えることで全身状態を改善し、結果として眼の健康をサポートする考え方があります。

漢方医学の観点から見ると、緑内障は肝の機能低下や気血の停滞が関係していると考えられています。肝は「目の窓」とされ、肝機能が低下すると目の症状として現れやすいのです。例えば、肝陽上亢（かんようじょうこう）という状態では、肝の熱が上昇して頭部や眼に症状が現れます。

東洋医学的なアプローチとしては、まず生活習慣の改善があります。規則正しい生活リズム、適度な運動、ストレス管理は基本です。特に深い呼吸を伴う太極拳やヨガなどは、全身の気の流れを改善し、緊張を緩和する効果が期待できます。

食事面では、肝機能をサポートする食材を意識的に取り入れることが推奨されます。緑黄色野菜、ゴマ、クルミなどの種実類、海藻類などは目の健康に良いとされています。また、過度の辛味や刺激物、アルコールの摂取は控えめにするとよいでしょう。

東洋医学の施術としては、経絡（けいらく）上のツボを刺激するツボ押しや鍼灸も有効です。特に、太陽穴（頭の側面）、攅竹（さんちく：眉頭部）、睛明（せいめい：目頭部）などの目の周囲のツボは、目の疲れや痛みの緩和に役立つとされています。

ただし、東洋医学的アプローチはあくまで西洋医学による治療の補完として位置づけるべきです。緑内障は進行性の疾患であり、早期発見・早期治療が何より重要です。眼科医による定期的な検診と処方された点眼薬の継続使用が基本となります。

東洋医学の知恵を取り入れながらも、現代医学の治療をきちんと受けることで、緑内障との上手な付き合い方を見つけていきましょう。何よりも大切なのは、自分の体と向き合い、目の健康を守る意識を持ち続けることです。