緑内障は日本人の失明原因の第一位とされる目の病気です。
とりわけ家族に緑内障患者がいる方は、発症リスクが高まることが知られています。
遺伝的要因が関わるこの疾患に対して、漢方医学ではどのような養生法が有効なのでしょうか。

緑内障は眼圧上昇などにより視神経が障害され、徐々に視野が欠けていく病気です。
初期症状がほとんどなく、気づいた時には進行していることも少なくありません。
特に家族歴のある方は、一般の方と比べて発症リスクが約3〜9倍高いといわれています。

漢方医学では、緑内障を「肝」と「腎」の働きの乱れと捉えます。「肝」は気の巡りを整え、「腎」は目の栄養を司るとされています。
遺伝的要素がある方こそ、これらの機能を日常から養生することが大切です。

まず大切なのが食養生です。肝機能を整える食材として、緑色の野菜（春菊、小松菜、ブロッコリーなど）や酸味のある食品（レモン、酢など）がおすすめです。
また、腎を補う黒い食材（黒豆、黒ごま、きくらげなど）も積極的に摂りましょう。

生活習慣も重要です。特に睡眠は「肝」の回復に欠かせません。
午後10時から午前2時は肝の働きが活発になる時間帯とされていますので、この時間帯の睡眠確保を心がけましょう。
また、適度な運動は血行を促進し、目の栄養状態を改善します。
ただし、激しい運動は一時的に眼圧を上昇させることがあるため注意が必要です。

ストレスも緑内障の悪化要因となります。
漢方では「気」の流れを滞らせる原因と考えられています。呼吸法や入浴など、自分に合ったリラクゼーション法を取り入れましょう。

また、目の周りのツボを優しく刺激することも効果的です。
「睛明」「攅竹」「太陽」などのツボを、親指や人差し指で軽く押すことで、目の周りの血行が促進されます。

漢方医学では体質や症状に合わせた漢方薬も用います。
自己判断は避け、専門の医師や薬剤師に相談することをおすすめします。

緑内障は完治が難しい病気ですが、早期発見と適切な治療、そして日常の養生で進行を遅らせることが可能です。
特に家族歴のある方は、定期的な眼科検診と日々の養生を心がけましょう。

東洋医学の知恵を生かした養生法は、西洋医学的な治療と併用することで、より効果的に目の健康を守ることができます。
家族に緑内障の方がいらっしゃる方は、ぜひ日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。