現代社会では、スマートフォンやパソコンの長時間使用により、目の健康トラブルを抱える方が増えています。眼精疲労や充血、ドライアイ、さらには飛蚊症など、目に関する不調は生活の質を大きく下げてしまいます。

東洋医学では古くから「目は肝の窓」と言われ、目の健康は肝臓の状態と密接に関わっているとされてきました。肝は血を蔵し、目に栄養を送る重要な役割を担っています。肝の機能が低下すると、目の潤いが失われ、様々な不調につながるのです。

漢方医学における目のケアで注目すべきは「肝」と「腎」のバランスです。肝は血を貯め、腎は精を蔵します。このバランスが崩れると、目の機能も低下するとされています。特に現代人に多い肝の熱と血の不足は、眼精疲労の大きな原因となっています。

実践できる東洋医学的なケア方法としては、まず「肝経」のツボ押しがあります。太衝（たいしょう）というツボは足の親指と人差し指の間の骨が交わる部分にあり、肝の機能を高めるとされています。このツボを1日3回程度、気持ちよく感じる強さで押してみましょう。

また、温かい蒸しタオルで目を温めることも効果的です。血行が促進され、疲れ目の回復に役立ちます。ただし熱すぎるタオルは逆効果ですので、心地よく感じる温度を選びましょう。

食事面では、ブルーベリーやニンジンなどの目に良いとされる食材に加え、東洋医学では黒ゴマや枸杞子（くこし）、菊花なども目の健康に良いとされています。特に枸杞子は「目の宝」と呼ばれるほどで、お茶として飲んだり、お料理に取り入れたりすることができます。

漢方薬を活用する場合は、自分の体質や症状に合ったものを選ぶことが重要です。眼精疲労には、肝の機能を整える漢方薬が用いられることが多いですが、専門家に相談して適切なものを選ぶことをお勧めします。

飛蚊症など、より深刻な症状を感じる場合は、まず眼科での検査を受けることが大切です。東洋医学はあくまで西洋医学と併用し、総合的に健康をケアするという視点が必要です。

目の健康は、私たちの毎日の生活に直結します。東洋の知恵を上手に取り入れ、大切な目を労わりながら、クリアな視界で充実した日々を過ごしていきたいものですね。