目は私たちの体の中でも特に繊細な臓器です。日常生活の中で「何となく目が疲れる」「視界がぼやける」といった違和感を感じることがあるかもしれません。しかし、これらの症状が単なる疲れではなく、緑内障のサインであることも考えられます。

緑内障は日本における中途失明原因の第一位とされる眼疾患です。怖いのは、初期段階では自覚症状がほとんどないこと。気づいたときには視野が狭くなっているなど、症状が進行していることが少なくありません。

緑内障の主な症状としては、まず視野の欠け（視野欠損）が挙げられます。特に周辺部から徐々に視野が失われていくのが特徴です。「テレビを見ていて画面の端が見えにくい」「運転中に側方からの車や人に気づきにくい」といった経験はありませんか？

また、眼圧上昇による頭痛や目の痛み、吐き気を伴うこともあります。特に急性緑内障発作の場合は、突然の激しい頭痛や目の痛み、視界のかすみ、吐き気などが現れ、緊急の治療が必要です。

さらに、光をまぶしく感じる（羞明）、暗い場所での視力低下、虹が見えるような光のにじみ（虹視）なども緑内障のサインかもしれません。

目の異常を感じたら、次のような症状がないかチェックしてみましょう：
・視界の端が見えづらい
・階段の段差が認識しにくい
・夜間の運転で対向車のライトがまぶしく感じる
・本を読むときに文字が見えづらい
・頻繁な頭痛や眼精疲労がある
・目の奥に圧迫感や痛みを感じる

これらの症状が一つでもあれば、早めに眼科を受診することをおすすめします。緑内障は早期発見・早期治療が重要です。現在の医療では完全に治すことは難しいものの、適切な治療により進行を遅らせることができます。

特に40歳以上の方、家族に緑内障患者がいる方、強度の近視の方、糖尿病や高血圧の方は、症状がなくても定期的な眼科検診をお勧めします。

東洋医学的観点からは、目の健康は肝（かん）の状態と密接に関連しています。漢方では「肝は目に開く」と表現され、肝の機能を整えることで目の症状を改善するアプローチもあります。

緑内障に限らず、目の健康を保つためには日常生活での工夫も大切です。長時間のスマホやパソコン作業を避ける、適度な休憩を取る、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレスの軽減などが役立ちます。

目の異常を感じたら、自己判断せずに専門医に相談しましょう。あなたの大切な視力を守るための第一歩です。