目の健康について考えたとき、加齢とともに多くの方が気にし始めるのが白内障です。水晶体が濁ってくるこの症状は、視界がかすんだり、ぼやけたりと日常生活に大きな影響を与えます。特に日本を含む長寿国では、高齢化に伴い白内障の発症率も高まっています。

白内障の主な原因は加齢ですが、それ以外にも紫外線の影響や喫煙、糖尿病などの生活習慣病、ステロイド薬の長期使用なども関わっています。興味深いことに、世界の長寿国として知られる日本、スイス、シンガポール、オーストラリア、スペインなどでは、白内障の予防に共通する生活習慣や食文化があります。

まず注目したいのは、これらの国々の食生活です。抗酸化作用のある食品を多く摂取する傾向があります。例えば緑黄色野菜に含まれるルテイン、ゼアキサンチンは目の健康に重要な役割を果たします。日本の伝統的な食事に含まれる海藻や魚、スペインのオリーブオイルなどに含まれる良質な脂質も目の健康維持に寄与しています。

また、スイスやオーストラリアでは屋外活動の際にサングラスの着用が一般的です。紫外線から目を守ることは白内障予防において非常に重要です。日本でも近年は紫外線対策の意識が高まっており、帽子やサングラスの着用が推奨されています。

生活習慣の面では、禁煙も重要なポイントです。タバコに含まれる有害物質は水晶体の酸化を促進し、白内障のリスクを高めます。シンガポールなどでは厳しい喫煙規制により、国民の健康を守る取り組みが進んでいます。

血糖値のコントロールも見逃せません。長寿国では生活習慣病の予防に力を入れており、特に糖尿病の管理が徹底されています。過度の糖分摂取は水晶体の蛋白質に悪影響を及ぼすことが知られています。

さらに、定期的な眼科検診も重要です。国をあげて視力検査プログラムを実施している国もあり、早期発見・早期治療につながっています。日本においても40歳以上になったら、症状がなくても定期的な眼科検診を受けることが推奨されています。

漢方医学の視点からも、目の健康には肝臓の状態が重要と考えられています。長寿国の多くでは、適度な運動や質の良い睡眠など、肝機能を保つ生活習慣が根付いています。

私たちも世界の長寿国に学び、日々の生活の中で白内障予防の知恵を取り入れていきましょう。バランスの良い食事、適切な紫外線対策、禁煙、定期的な眼科検診など、今日から始められる対策がたくさんあります。目の健康は人生の質に直結する大切な要素です。予防に勝る治療はないという言葉通り、日常の小さな心がけが将来の健やかな視力を支えてくれることでしょう。