デジタルデバイスの普及により、現代人の目は以前にも増して酷使されています。パソコンやスマートフォンの画面を長時間見続けることで、目の疲れや乾き、かすみなどの症状に悩む方が増えています。そんな中、東洋医学に基づいた目のケア方法が見直されているのをご存知でしょうか。

東洋医学では古くから目の健康は「肝」と深い関わりがあるとされてきました。「肝は目に開く」という考え方があり、肝の機能が低下すると目の症状として現れると考えられています。現代の生活習慣による肝への負担が、目の不調として表れているケースも少なくありません。

漢方では、肝の機能を整えることで目の健康を支援する考え方があります。例えば、肝の働きを助ける生薬を配合した処方は、目の疲れやかすみに対して古くから用いられてきました。枸杞子（くこし）や菊花（きっか）、決明子（けつめいし）などは目に良いとされる生薬です。

また、東洋医学的なセルフケアも注目されています。目の周りのツボを優しく押すことで血行を促進する「眼輪筋マッサージ」や、遠くを見て目の筋肉をリラックスさせる「遠見法」なども効果的です。さらに、温かいタオルで目を温める「蒸しタオル療法」も血行を促進し、目の疲れを和らげるとされています。

食事面でも東洋医学の知恵が活かされています。レバーや緑黄色野菜、ブルーベリーなどのアントシアニンを含む食品は、東洋医学でも目に良いとされています。また、過度の飲酒や辛い食べ物の摂りすぎは肝に負担をかけるため控えめにすることも、間接的に目の健康につながるという考え方です。

現代医学の発展により様々な目の治療法が確立されている一方で、日常的なケアや予防という観点では東洋医学のアプローチが見直されています。症状が出てから対処するだけでなく、バランスを整えて健康を維持するという東洋医学の考え方は、現代のライフスタイルにも取り入れやすいものです。

もちろん、目の症状が気になる場合は、まずは眼科医の診察を受けることが大切です。その上で、東洋医学の知恵を日常生活に取り入れることで、目の健康を総合的にサポートすることができるでしょう。

現代社会における目の酷使は避けられませんが、東洋の知恵を活かした日々のケアで、大切な目を守っていきたいですね。