緑内障は40歳以上の日本人の約5%が罹患するとされる目の病気です。適切な治療を受けなければ視野狭窄が進行し、最悪の場合失明に至ることもある深刻な疾患です。現代医学では主に点眼薬や手術による治療が主流ですが、近年では東洋医学的アプローチを併用することで症状の緩和や進行抑制に効果があるという報告も増えています。

東洋医学では緑内障を「肝の不調」と捉えることが多いのが特徴です。目の健康は肝と密接に関連しているという考え方が基本にあります。特に眼圧上昇の原因となる目の周辺の血流や水分代謝の異常に着目した漢方治療は、西洋医学的治療との併用で注目されています。

漢方薬の中でも、肝機能を整え目の症状を和らげるものとして知られているのが「三共アイグッド」や「三共バイオDX」などです。これらは肝腎陰虚（かんじんいんきょ）という状態を改善し、目の栄養状態を整える効果が期待されています。もちろん、これらは西洋医学的治療の代替ではなく、あくまで補完的な役割として考えるべきでしょう。

また、鍼灸治療も緑内障患者に対して効果的とされています。特に目の周辺のツボを刺激することで、眼圧のコントロールや血流改善に寄与するという研究結果も出ています。代表的なツボとしては、目の周りの「攅竹（さんちく）」「魚腰（ぎょよう）」、手の「合谷（ごうこく）」などが挙げられます。

食事療法の面では、肝機能を高める食材を意識的に摂ることも大切です。ゴマ、クルミなどの種実類、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜、ブルーベリーなどのアントシアニンを含む食品は目の健康に良いとされています。

日常生活においても、目の疲れを溜めないことが重要です。東洋医学では「肝は血を蔵す」と考え、過度の目の使用は肝の負担になるとされています。適度な休息と、目の周りのマッサージなども効果的です。

専門医の指導のもとで行うことが大前提ではありますが、東洋医学的アプローチは緑内障の症状管理において、副作用が少なく患者のQOL向上にも貢献する可能性があります。現代医学と東洋医学、それぞれの良さを取り入れたトータルケアが、これからの緑内障治療の一つの方向性かもしれません。

最後に強調しておきたいのは、緑内障の基本治療は眼科での定期検査と処方された点眼薬の継続使用です。東洋医学はあくまでも補完療法として活用し、自己判断で西洋医学的治療を中断することは避けるべきです。両者を上手に組み合わせることで、より良い治療効果を得ることができるでしょう。