目の健康について考える機会はどれくらいありますか？私たちの生活に欠かせない視覚ですが、その大切さに気づくのは何かトラブルが起きてからということが多いものです。特に緑内障は「沈黙の視力泥棒」とも呼ばれ、気づかないうちに視野が失われていく恐ろしい病気です。

緑内障とは、眼圧の上昇などが原因で視神経が傷つき、視野が徐々に欠けていく疾患です。日本人の失明原因の第一位とされており、40歳以上の約5%が緑内障だと言われています。怖いのは初期症状がほとんどないか、あっても気づきにくいことです。

初期の緑内障では「目の疲れやすさ」「頭痛」「目の奥の痛み」などの症状が現れることがありますが、単なる疲れと思い過ごしてしまうことも少なくありません。また視野欠損は周辺部から始まるため、両目で見ている限り気づきにくいのです。

では早期発見のためにはどうすればよいでしょうか。最も確実なのは定期的な眼科検診です。特に40歳を過ぎたら、症状がなくても1〜2年に一度は眼科を受診しましょう。

東洋医学の観点からも目の健康は重視されています。漢方では肝（かん）の機能が目の健康と深く関わるとされ、肝の働きを整えることで目の疲れを改善する考え方があります。

また日常生活でできる対策としては、適度な運動習慣が挙げられます。適切な運動は眼圧のコントロールに効果があるといわれています。さらに喫煙は緑内障のリスクを高めるという研究結果もあり、禁煙も重要な予防法です。

緑内障は早期発見・早期治療が何よりも大切です。現在の医療では完全に治すことはできませんが、早期に発見して適切な治療を続ければ、視力や視野の低下を抑えることが可能です。

漢方薬や生薬は西洋医学的治療の補助として用いられることもありますが、緑内障の治療は必ず眼科医の指導のもとで行うべきです。自己判断での対処は危険ですので、気になる症状があれば速やかに専門医を受診してください。

大切な視力を守るため、日頃から目の健康に関心を持ち、定期検診を習慣にしましょう。何も症状がないからといって安心せず、予防的な姿勢が将来の視力を守る鍵となります。緑内障は初期段階では自覚症状に乏しいからこそ、積極的な健康管理が必要なのです。