目の健康は生活の質に直結するものです。特に白内障は加齢とともに発症率が高まる目の病気として広く知られています。現在、日本人の3人に2人が70歳までに白内障を発症すると言われており、目の健康寿命を考える上で避けて通れない課題となっています。

白内障とは、目のレンズの役割を果たす水晶体が濁ってしまう病気です。初期症状としては、ぼんやりと見えたり、まぶしく感じたりすることがあります。進行すると視力低下が顕著になり、日常生活に支障をきたすようになります。

白内障の主な原因は加齢によるものですが、それ以外にも紫外線の影響や糖尿病などの生活習慣病、喫煙、目の外傷なども関係しています。特に紫外線の影響は大きく、長期間にわたる紫外線の曝露は水晶体のタンパク質を変性させ、白内障の発症リスクを高めることが知られています。

では、白内障を予防するためにはどのような対策が有効でしょうか。まず、日常生活では紫外線対策が重要です。外出時はサングラスや帽子を着用し、目への紫外線の影響を最小限に抑えましょう。また、バランスの取れた食事も重要です。特にビタミンC、ビタミンE、ルテインなどの抗酸化物質を多く含む食品の摂取が推奨されています。緑黄色野菜や柑橘類、ナッツ類などを積極的に取り入れることで、水晶体の酸化を防ぐ効果が期待できます。

漢方薬による目の健康サポートも注目されています。東洋医学では目の健康は肝（かん）の状態と深く関わっているとされます。肝の機能を整えることで目の健康維持をサポートする考え方があります。漢方の世界では「肝は目に開く」という言葉があり、肝の機能が目の健康に直結すると考えられてきました。

規則正しい生活も目の健康には欠かせません。十分な睡眠、適度な運動、ストレスの軽減などが全身の健康と共に目の健康維持に役立ちます。また、長時間のスマホやパソコン作業による目の疲労も白内障のリスク要因となる可能性があります。こまめに休憩を取り、遠くを見るなどして目を休めることも大切です。

定期的な眼科検診も忘れてはいけません。早期発見・早期治療が目の健康寿命を延ばす鍵となります。40歳を過ぎたら、症状がなくても定期的に眼科を受診することをお勧めします。

白内障は完全に予防することは難しい病気ですが、日常生活での心がけによって発症を遅らせたり、進行を緩やかにしたりすることが可能です。目の健康は一生の宝です。今日からできる対策を始めて、明るく健やかな視力を長く保ちましょう。